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吃音者のブログ

吃音者が、ブログを書いていきます。

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4


眠りから覚め、目を開けると、隣のベッドで寝ているアイカが見えた。俺は、あくびをして背伸びをすると、ゆっくりと体を起こした。ベッドから降りると、隣のベッドで寝ているアイカを見つめる。寝顔がめちゃくちゃ可愛いい。
彼女の目にかかっている髪をゆっくりはらうと、アイカは、うっすらと目を開けていく。
「や。おはよ。起こしちゃって悪かったな。」俺は、紳士的に対応した。
目をぱちぱちさせて、状況を徐々に把握して、顔が少しずつ羞恥で染まっていくアイカは。
「お、お、おはよう。」
すごく動揺していた。
アイカは、急いで体を起こしベッドから降りた。
「ご飯を食べたら、《始まりの草原》に行こう。」
彼女はそう言って、俺の同意も求めず部屋を出て行った。
NPCのレストランで、コーヒーとパンケーキを注文した。仮想世界で初めて食べる朝食だったが、現実世界と味はあんまり変わりはなかった。
NPCにお金を払って、レストランを出た。
「んじゃ。行こっか。《始まりの草原》」
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
俺達は笑いあい、ゆっくりと《始まりの草原》に向かって歩き出した。


また、昨日の武器をくれるNPCに出会ったが、もうネタが切れたらしくアイカには挑みかかってこなかった。
持ち物メニューから、昨日朱雀からドロップした刀をオブジェクト化させる。
「なぁ、これどうやったら『西の白虎』の場所に案内してくれるのかな?」
「とりあえず、抜いてみたら?」
そう言われ、俺は刀の柄に手をかけ勢いよく抜いた。
刀にまとっている炎は、ゆらりと揺れ、刀の先から青白い光が現れた。
「こ、これの方向に行けばいいんだよな。」
アイカは驚いたの顔をしながら、たぶんと、自信なさげに言った。
青白い光の後について、5分ほど歩いた時、はぐれゴブリンにエンカウントした。
なぜ、はぐれゴブリンなのかというと、通常はPTを組んでプレイヤーを襲ってくるはずのゴブリンが、一体だけで襲ってきたからだ。
これは、新スキルと刀の威力を試す絶好のチャンスと思い、アイカには戦わないでもらった。
刀を構えると、炎が大きくなる。『火を操る』それは難しいことだった。けれども俺は、両親が死んだ時の事を思い出すだけで簡単に火を操れる。
刀を上に振り上げ、炎を宙に浮かせる。ゴブリンがそれを見上げる。そして、ゴブリンの真上に移動させた炎を、雷のごとく落下させる。ゴブリンの頭に命中し、HPが一気に0になる。断末魔を上げるまもなく、ポリゴンのかけらになって霧散した。
ふぅ、と一息入れ、刀を鞘に戻す。
「うわぁ!すごーい。強い」
アイカは、憧れのまなざしでこっちを見て、拍手をしている。
俺は、それほどでも、といって、また青白い光の後に付いて行く。
8分ぐらい歩くと、急に視界がぶれた。前にも体験したことのある感覚で、下へ下へと落ちていく。
ドスンという、衝撃と共に背中が地面に少しめり込む。
「いって―。またかよ・・・」俺は、悪態付きながら起き上がる。
「アイカ、大丈夫か?」
横でまだ、倒れているアイカに声をかける。
「大丈夫、大丈夫。それにしても、また落ちるなんて・・・」
アイカは、お婆ちゃんみたいに腰をさすりながらゆっくりと起き上がる。
「『西の白虎』の居場所がここなんだよな?」
「たぶんそうだと思うよ・・・奥に行ってみようか?」
虫1匹以内穴の中を、ゆっくりと進んでいく。
奥に進むごとに暗くなっていったが、<朱雀の形見刀>のおかげで、明るくなった。
かさっという何かがこすれる音が後ろの方から聞こえてきた。
急いで後ろを振り返り、刀を前へ突き出す。そこにぼんやり見えたのは、細長い白い虎だった。
HPバーが表示され、《白虎》と名前が表示される。
『やっと見つけたか。ふむ。その刀は我が友人、朱雀の刀だな。ふん。朱雀に気に入られし人物とは君か・・・』
頭の中で、しゃがれた声が響いた。
「白虎は話せるのか・・・」《朱雀》は話さなかったはずだ。
「あのぉ、『西の白虎』さんですよね?」アイカが、おずおずと話し掛ける。
『ふむ。その名前は久しぶりに聞いた。確かに、わしが、白虎だ。』
『戯言はこのくらいにしておこう。朱雀に気に入られし、といえど容赦はせぬぞ!』
そう頭の中で声が響くと同時に、《白虎》が後ろ足で地面を蹴った。
前足の爪を、頭を傾げて避ける。かすり傷ですんだ。
《白虎》が宙に浮いている間に、アイカが手裏剣を投げる。《白虎》は、身をひねって避ける。
着地した所で、俺が刀を右横にふる。当たる!と思った時、《白虎》の前に土の壁ができ、刀がはじかれる。
反動の強さで、刀を落としそうになるが何とかこらえ、刀を持ち直す。
「なんだ?土の壁?」
「《朱雀》は火、《白虎》が操るのは土よ。」
アイカは、瞬時に答えた。
『よく知っているな。若い娘よ。』《白虎》の声が頭の中に響く。
「これはどうだ。」
俺は、刀の火を操り《白虎》めがけて炎を一直線に放射する。
土の壁が現れる。
「うぉぉぉぉぉ――」
俺は咆哮し、刀の先からより強い炎を生み出す。
土の壁が割れた。このまま一気にHPを削ろうと思った時、炎が止まった。
まだ、このスキルのレベルが低いので長くは操れないのだ。それでも、《白虎》のHPは半分以上残っている。
アイカが、後ろから手裏剣を放つ。《白虎》の背中に刺さり、HPが残り少しとなる。
《白虎》は、アイカに振り向きもせず俺に向かって駆ける。
俺が、刀が《白虎》届くと同時にアイカの投げた剣が背中に突き刺さる。
HPが0になり、ポリゴンの欠片となる前に頭の中に《白虎》の声が響いた。
『さすがは、朱雀が気に入った奴だな。私も気に入った。だが気をつけろ。この世界におまえ達を閉じ込めた奴は、何よりも強いぞ。若造よ、私の力を君とその娘に与える。強くなれ。』
その声が終わったと同時に、ポリゴンの欠片となり《白虎》は跡形もなく消えた。
「サンキュー。お前が剣を投げてくれなかったら、俺は死んでたよ。」
「どういたしまして。それより、さっき《白虎》が言ってたこと気にならない?」
「お前にも聞こえていたのか・・・この世界に閉じ込めた奴・・・・誰の事だろう?」
「それは分からなくても、2つ分かったことがあったわ。この世界に閉じ込めた奴を探し出 し、倒さなければこの世界から出られないということと、閉じ込めた奴を倒すには強くな らなければいけないということが」
「あぁ、そうだな。」
俺は、このマキシマムオンラインで一番強くなり、この世界に閉じかめた奴を必ずこの手で、倒す。と決意した。
「なぁ、アイカ。俺達でギルド作って、それで最強になって、この世界に閉じ込めた奴を倒
 さないか?」
「そうね。」
俺達は、ハイタッチを交わした。
「強くなるね…あ、そういえば《白虎》が最後に、何かいってなかった?」
「あぁ、そういえば言っていたな。《白虎》の力を俺達に与えるとか・・・・そうか、スキルか。」
俺は、急いでメニュー画面を呼び出すと、スキルメニューを表示する。
<テレパシー><パイロキネシスLv4><アースキネシスLv1>がセットされていた。
「なぁ、<アースキネシス>っていうのがセットされているぞ。」
「それは、土を操る能力よ。超レアモブを倒したら、必ずスキルガ発生するのかしら?こんなことだったら私も<超能力者>にすればよかったわ・・・」
「はは、後悔先に立たずだな。」
何気なく、持ち物メニューを見てみたら、そこには<白虎のアースシューズ>とダサい名前の防具があった。
「なぁ、お前は何がドロップした?」
持ち物メニューを見ていたアイカは、素っ頓狂な声を上げた。
「これ、すごいわ。<白虎の形見刀>だって。えっと、説明読むね、この刀は、地面に触れたらどんな形にもどんな大きさにもなります。刃こぼれや折れてしまっても地面に触れれば再生します。なお、この刀は、『北の玄武』の居場所に導きます。だって。」
「よかったな。今回は、お前がとどめを刺したからその刀がお前にドロップしたんだろう。」
アイカは、さっそく刀をオブジェクト化させ、背中に刺していた。いよいよ忍者っぽくなってきた。
俺達は、また落ちてきた穴に縄を投げ、穴の外へ上って行った。
「どうする?1回《始まりの町》に帰るか、それとも、『北の玄武』を探しに行くか?」
縄を回収して、持ち物メニューに収納したアイカは、少し考えるそぶりをした。
「うーん。どうしよっか?まだ、お昼までに時間があるから今のうちに『北の玄武』探しに行こう。」
「あぁ、そうだな。あ、それより前にギルド作らないか?『北の玄武』にとどめ刺したら、また刀がドロップするかもしれないし、2本もってても意味ないだろ?」
「う~ん・・・・ギルド作るには、1回《始まりの町》へ戻らなきゃいけないよ。」
「じゃ、一回《始まりの町》へ戻ろうか。」
「そうね。私ね、女プレイヤーで<盗賊>がほしいんだけど・・・」
「<盗賊>ってやばくねぇか?ほら、あれだろ、強盗みたいな・・・」
「あはは。違うよぉ。<盗賊>は、罠を解除したりする職業だよ。」
俺達は、《始まりの町》に戻る道を歩きながら、どんな仲間がほしいか話し合った。

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